IAP呼吸とドローイング、どっちが腹横筋に効くの?真逆に見える2つの呼吸法を整骨院が解説【基山町・鳥栖エリア】

「お腹を凹ませる」ドローイングと「お腹を膨らませる」IAP呼吸。どちらが腹横筋に効くの?腰痛予防・体幹強化に役立つ2つの呼吸法の違いと正しい使い分けを基山町・鳥栖の整骨院が徹底解説します。

はじめに

「お腹を凹ませるドローイングと、お腹を膨らませるIAP呼吸。 どっちが正しいの?」

「腰痛に効くと聞いたけど、何が違うのかわからない」

「どちらもやってみたけど、どちらが自分に合っているのかわからない」

一見まったく逆のことをしているように見えるこの2つ。

でも、どちらも腹横筋(ふくおうきん)に働きかけるトレーニングとして紹介されています。

結論から言うと、 どちらが「優れている」ということではなく、 目的によって使い分けることが正解です。

この記事では、基山町のりぼん鍼灸整骨院が、 腹横筋の解剖学的な役割から2つの呼吸法の違い・使い分けまでを わかりやすく解説します。

【結論】

IAP呼吸とドローイングのポイントは以下の通りです。

  • 腹横筋は体の中心を360度囲む「天然コルセット」のようなインナーマッスル
  • ドローイングは腹横筋を「単独で意識する」練習に向いている
  • IAP呼吸は腹横筋を含む「体幹全体を機能的に使う」トレーニング
  • 腰痛予防・日常ケアには最終的にIAP呼吸が効果的
  • 初めての方はドローイング→IAP呼吸の順で段階的に取り組むのが正解

どちらが正しいではなく、目的に合わせて使い分けることが大切です。

腹横筋ってどんな筋肉?

体の中心を内側から支える「天然コルセット」

腹横筋は、おへその周りを360度ぐるりと囲むようについている筋肉です。

コルセットのように体の中心を内側から支える役割があることから、 「天然の腰サポーター」とも呼ばれます。

腹横筋の役割具体的な効果
腹腔内圧(IAP)を高める腰椎を内側から安定させる
骨盤・腰椎の固定動作時の腰への負担を軽減する
姿勢の保持猫背・反り腰の改善につながる
体幹の安定スポーツ・日常動作のパフォーマンス向上

この筋肉がうまく使えないと、 腰への負担が増えて腰痛につながったり、 姿勢が崩れやすくなったりします。

逆に鍛えることで、 腰痛予防・姿勢改善・体幹の安定に効果が期待できます。

💡 腹横筋は自分では意識しにくい深層の筋肉(インナーマッスル)です。意識的なトレーニングで活性化させることが大切です。

腹横筋は「体の内側に張られたサポートベルト」。ここが使えないと腰が守られなくなります。

ドローイングとは?

「お腹を凹ませる」腹横筋の単独トレーニング

ドローイング(drawing in)とは、 息を吐きながらおへそを背骨に向けて引き込み、お腹を凹ませる動作です。

腹横筋を単独で意識する練習として優れており、 リハビリや産後ケアなど「まずお腹を使う感覚を取り戻したい」という場合に向いています。

ドローイングのやり方

ステップ動作ポイント
STEP 1仰向けか、楽な姿勢で立つ肩の力を抜いてリラックスする
STEP 2ゆっくり息を吐きながら
お腹を凹ませる
おへそを背中に近づけるイメージ
STEP 35〜10秒キープして、ゆっくり戻す息を止めずに
浅い呼吸を続けながら維持する

目安:1日10回×2セット

ドローイングの特徴

  • 腹横筋の単独収縮を練習できる
  • 「お腹の筋肉を使う」感覚を養いやすい
  • リハビリ・産後ケアに向いている
  • 体幹全体の安定は得にくい

ドローイングは「腹横筋のスイッチの入れ方を覚える」練習です。

IAP呼吸とは?

「お腹を膨らませる」体幹全体の機能的トレーニング

IAP(Intra-Abdominal Pressure)とは腹腔内圧のことです。 IAP呼吸とは、お腹の内側の圧力を高めて体幹全体を安定させる呼吸法です。

腹横筋だけでなく、横隔膜・骨盤底筋・多裂筋など 体幹を支える筋肉がまとめて働くため、 日常の動作やスポーツへの応用が高い呼吸法です。

IAP呼吸のやり方

ステップ動作ポイント
STEP 1鼻からゆっくり息を吸うお腹を360度全方向に
膨らませるイメージ。
前だけでなく
横・後ろにも広げる感覚
STEP 2そのまま体幹をぎゅっと固めるお腹に圧力がかかった
状態をキープ。
「お腹の中に缶ジュースが
入っている」イメージ
STEP 3ゆっくり口から吐いて緩める力を抜いてリセット。
これを繰り返す

IAP呼吸の特徴

  • 体幹全体を同時に安定させる
  • 日常動作・腰痛予防への転移が高い
  • 腹横筋を「使える筋肉」にする
  • 腹横筋を単独で意識しにくい

IAP呼吸は「腹横筋を日常の動きの中で自然に使えるようにする」トレーニングです。

どっちが腹横筋に効くの?徹底比較

結論:目的が違うので「どちらが上」ではない

比較項目ドローイング(凹ませる)IAP呼吸(膨らませる)
主なターゲット腹横筋の単独収縮体幹全体
(横隔膜・骨盤底筋・多裂筋も含む)
腹腔内圧やや低下する高まる
体幹の安定性単独では得にくい高い
向いている場面リハビリ・産後ケア・腹横筋の再教育腰痛予防・日常動作・スポーツ
難易度比較的簡単慣れが必要
効果の広がり腹横筋の意識化日常動作全体に転移しやすい

ポイント:2つは「競合」ではなく「段階」の関係です。 ドローイングで腹横筋の存在を意識できるようになってから、 IAP呼吸に移行することで体幹を機能的に使えるようになります。

目的別・使い分けのポイント

こんな目的ならおすすめ
腹横筋の存在を意識したい・使う感覚を覚えたいドローイング
産後・術後で体幹の再教育をしたいドローイング
腰痛を予防・再発させたくないIAP呼吸
立つ・歩く・持ち上げるなど日常動作で腰を守りたいIAP呼吸
スポーツのパフォーマンスを上げたいIAP呼吸
どちらも初めての方まずドローイング→慣れたらIAP呼吸へ

当院でも、腰痛でいらっしゃる患者さんには 最初にドローイングでお腹の感覚を取り戻してもらい、 その後にIAP呼吸へ移行するという段階的な指導をすることがあります。

セルフチェック(あなたはどちらが向いている?)

以下の質問に「はい/いいえ」で答えてください。

質問はい → 向いている方法
お腹に力が入っている感覚がよくわからないドローイングから始める
産後・手術後でお腹の感覚が鈍くなった感じがあるドローイングから始める
腹筋運動をしても腰が痛くなるドローイングで腹横筋を意識してから
腰痛が繰り返し起こるIAP呼吸を日常に取り入れる
重いものを持つと腰が痛いIAP呼吸(動作前に腹圧を高める習慣)
スポーツ・運動中に体幹が安定しないIAP呼吸でパフォーマンス改善
お腹の感覚はある程度わかるIAP呼吸に移行しても良い段階

「ドローイング」が多い方: まず仰向けでのドローイングから始め、腹横筋の感覚を2週間かけてつかみましょう。

「IAP呼吸」が多い方: ドローイングの感覚がある程度あれば、IAP呼吸を日常の動作に取り入れていきましょう。

今日から始める実践ステップ

どちらも特別な道具は不要です。以下の順番で取り組んでみてください。

STEP 1:まずドローイング(1〜2週間)

項目内容
開始姿勢仰向けに寝て膝を立てる。
腰は自然な位置(床に押しつけない)
動作手順①鼻からゆっくり息を吸う
②口からゆっくり吐きながら
おへそを床に向けて引き込む
③5〜10秒かけてやる
④息を吸いながら元に戻す
回数10回×2セット/1日
作用部位腹横筋(深層インナーマッスル)
なぜ効くか腹横筋の単独収縮を意識的に練習することで、
日常では使われにくい深層筋を活性化する
NG動作お尻を締めながらやる・
腰を床に押しつける・
息を止める
効果判定おへその下あたりが「コリッ」と固まる感覚があればOK

仰向けで寝た姿勢から始めると感覚をつかみやすいです。

STEP 2:IAP呼吸に移行する

「お腹を使う感覚」がつかめたら、IAP呼吸に切り替えます。

項目内容
開始姿勢立位・座位どちらでもOK。背筋を自然に伸ばす
動作手順①鼻からゆっくり吸いながら
お腹を360度全方向に膨らませる
②そのまま体幹全体を「ぎゅっ」と固める
(お腹の中に缶ジュースが入っているイメージ)
③ゆっくり口から吐いて緩める
回数5〜10回/1日。慣れたら立ち仕事・歩行中も意識する
作用部位腹横筋・横隔膜・骨盤底筋・多裂筋
(体幹深層筋群すべて)
なぜ効くか腹腔内圧が高まることで腰椎が内側から安定し、
腰への負担が分散される
NG動作息を止めたまま長時間固める・肩を力ませる
効果判定重いものを持つとき・立ち上がるときに
腰の安心感が増したらOK

今度はお腹を膨らませながら内側から固めるイメージで。 立った状態や、家事・歩行中にも意識できると効果的です。

⚠ こんな方は注意してください

腰や股関節に強い痛みがある場合、無理に腹圧をかけると症状が悪化することがあります。痛みがある方は、まずお気軽にご相談ください。

整骨院での専門的アプローチ

セルフトレーニングで改善しない腰痛・体幹の不安定さには、 専門的なアプローチを組み合わせることでより早く改善できます。

メニュー期待できる効果対象
体幹機能評価腹横筋・骨盤底筋の使い方を
個別に確認・指導
ドローイングが上手くできない方
トリガーポイント施術腰まわりの筋硬結をほぐし、
腹横筋が使いやすい状態を作る
腰痛・筋緊張が強い方
骨盤矯正・姿勢調整骨盤のアライメントを整えて
IAP呼吸が機能しやすい体にする
反り腰・骨盤前傾の方
鍼灸(腰部・腹部)深層筋の緊張緩和・自律神経を
整えて体幹の回復を促進
慢性腰痛・疲れが抜けにくい方

当院では一人ひとりの状態に合わせて、 体幹ケアや腰痛治療をご提案しています。

まとめ

  • 腹横筋は体の中心を360度囲む「天然コルセット」のようなインナーマッスル
  • ドローイングは「お腹を凹ませる」動作で腹横筋を単独で意識する練習に向いている
  • IAP呼吸は「お腹を膨らませながら固める」動作で体幹全体を機能的に使うトレーニング
  • 腹横筋を単独で鍛えるならドローイング・体幹全体を安定させるならIAP呼吸が有利
  • 腰痛予防・日常ケアには最終的にIAP呼吸が効果的
  • 初めての方はドローイング(1〜2週間)→IAP呼吸の順で段階的に取り組もう
  • 腰や股関節に強い痛みがある場合は無理に腹圧をかけず専門家に相談する

よくある質問

Q. ドローイングとIAP呼吸を同時にやってもいいですか?

A. 可能ですが、それぞれ目的が異なるため同時に行う必要はありません。まずドローイングで腹横筋の感覚を2週間かけてつかんでから、IAP呼吸に移行するという段階的な取り組みが最も効果的です。

Q. 腰痛があるときにドローイングをやっても大丈夫ですか?

A. 軽度の腰痛であれば、仰向けで行うドローイングは腰への負担が少なく比較的安全に行えます。ただし強い痛みがある場合は悪化するリスクがあるため、まず整骨院・整形外科で状態を確認してから取り組むことをおすすめします。

Q. ドローイングは立って行ってもいいですか?

A. 問題ありません。ただし最初は仰向けで行う方が腹横筋に集中しやすく、感覚をつかみやすいです。感覚がつかめてきたら立位・座位でも行うことで日常への応用が広がります。

Q. IAP呼吸はいつ意識すればいいですか?

A. 特に「腰に負担がかかる動作の直前」が効果的です。重いものを持ち上げる前・立ち上がる前・くしゃみをするとき・歩き出す前などに意識すると、腰への負担を大幅に軽減できます。慣れてくると無意識に行えるようになります。

Q. 腹横筋を鍛えるとお腹は凹みますか?

A. 腹横筋を鍛えると「お腹の内側から引き締まる」効果が期待できます。ただし皮下脂肪・内臓脂肪の減少には食事管理・有酸素運動が必要です。見た目のお腹痩せを目指す場合は、体幹トレーニングと合わせて当院の脂肪冷却・よもぎ蒸しなどのメニューも効果的です。

参考文献

  1. Richardson CA, et al. Therapeutic Exercise for Lumbopelvic Stabilization: A Motor Control Approach for the Treatment and Prevention of Low Back Pain. Churchill Livingstone; 2004.
  2. Hodges PW, Richardson CA. Contraction of the abdominal muscles associated with movement of the lower limb. Phys Ther. 1997;77(2):132-144.
  3. Stanton T, Kawchuk G. The effect of abdominal stabilization contractions on posteroanterior spinal stiffness. Spine. 2008;33(6):694-701.
  4. 日本整形外科学会. 腰痛診療ガイドライン2019(改訂第2版). 南江堂; 2019.
  5. 福井勉・山崎裕司(編). 標準理学療法学 運動療法学. 医学書院; 2020.

著者情報

成田 祥士(なりた しょうじ) 資格:柔道整復師 臨床歴:20年 専門分野:トリガーポイント療法・体幹機能改善・腰痛ケア りぼん鍼灸整骨院 院長(佐賀県三養基郡基山町)